「適正な養育費を受け取りたい」

1 養育費とは

養育費とは,子どもが社会人として自立するまでに必要となる費用です。衣食住にかかる経費や教育費,医療費,娯楽費などあらゆる費用を含んだものです。

そして,養育費の負担義務は,生活保持義務(お互いの生活レベルが同等になるように助け合う義務)とされ,生活扶助義務(夫婦・親子間以外の親族が負う義務で,自分の生活に余力がある場合に親族を援助する義務)よりも重い義務と考えられています。

2 養育費の金額

養育費の金額は,両親が話合いで合意できればその金額とすればよく,いくらで決めなくてはいけないということはありません。

しかし,どのくらいの金額が適切とされているのか分からない状況で,相手方との間で主張する金額が大きく開いている場合には,話合いが進まずどのように決めたらいいのか,ということもあります。

通常は,裁判所が出している以下の算定表が広く参考にされています。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

養育費は,子の養育に必要な実額を計算して算出するのではなく,父母双方の収入のバランスに応じて算定することになります。算定表の金額は目安と考えられていますので,必ずしもその範囲の金額で決めなければならない訳ではありません。

3 養育費の期間

養育費の期間としては,成人するまでの間とすることが多いようですが,大学卒業までの22歳,高校卒業までの18歳など,状況に応じて変わります。

4 養育費の支払いを確保する手段

養育費の支払いは長ければ20年ほどにもわたります。実際に養育費が途中から不払いになるケースもあります。そのような事態になった場合,強制執行により,相手の財産や給料を差し押さえる必要が出てきます。強制執行の手続きを速やかに進めるためには,強制執行認諾文言を入れた公正証書で養育費を取り決めたり,調停(調停が成立すると調停調書という文書に取り決めた事項が記載されます。)で養育費を取り決めておくことが良いでしょう。

5 日弁連の提言する新しい算定表について

平成28年11月に,日弁連は新しい算定表に関する提言を最高裁判所長官,厚生労働大臣及び法務大臣に提出しました。

平成29年4月現在,実務では前述2の算定表が活用されている状況に変わりはありません。もっとも,今後様々な具体的事情に応じた養育費を算定するにあたっては,新しい算定表の考え方が参考になる場面も多くあると思われます。

新しい算定表に関しての詳しい情報は,以下の日本弁護士連合会のホームページをご覧ください。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/161115_3.html
 

6 養育費算定にあたり問題となり得ること

以下では,養育費を受け取る側を「権利者」,養育費を支払う側を「義務者」といいます。

⑴ 子どもが私立学校に通っている場合

子どもが15歳以上の場合と14歳未満の場合では,参照する算定表が変わり,金額に違いが生じます。これは,15歳以上の子どもは,一般にも学費等が多くかかる時期であると考えられているためです。そして,15歳以上の子どもについて,公立高校でかかる学校教育費相当額は,すでに算定表の金額に織り込み済とされています。

もっとも,実際に子どもが私立の高校や大学に通っている場合には,学費の負担等が重くのしかかり,算定表の養育費では権利者が子どもを養育するにあたり,経済的に苦しくなってしまいます。そこで,実際に子どもが私立の高校や大学に通っている場合には,公立高校の学校教育費相当額と実際の学校教育費との差額のうち義務者に負担させることが相当と考えられる金額について,上乗せされることがあります。

このとき,私立の学費の上乗せ分について,権利者と義務者でどのような割合で負担すべきかについては,権利者と義務者の収入に応じて按分する見解と,権利者と義務者で等分に負担する見解があり,具体的事案によって使い分けられているようです。

私立学校の学校教育費のみならず,塾に通っている場合なども考慮される場合があります。

⑵ 過去にさかのぼって養育費を請求することができるか

養育費は,親子という関係から当然に発生するものであることからすれば,過去にさかのぼって請求することも可能と考えられます。もっとも,養育費の実質は,子どもの現在の生活費に充てるという性質のものであり,実際に養育費を請求せずに生活ができていた実態があったにも関わらず,後になって過去の未払い養育費を多額に請求される義務者としては予測できない負担を課せられることにもなりうるため,結果的に義務者による扶養の必要性がなかったとの判断もありえます。

そのため,基本的には過去にさかのぼって養育費を請求することは容易ではないと考えられていますので,養育費を請求すべき場合には,速やかにその手続きを行う事が必要です。

仮に,義務者が相当な養育費の分担を免れたために財産を増やしたような場合など,具体的事情が考慮されて,過去にさかのぼって認められることもあります。

過去にさかのぼって養育費を請求する場合,時効との関係に注意することが必要です。養育費の具体的な金額の取り決めがある場合には,養育費が発生する各月から5年の時効,養育費の具体的な金額の取り決めがない場合には,10年の時効にかかる可能性があります。

⑶  養育費の請求はどのような方法によるべきか

養育費を請求すべき場合には,速やかに請求すべきですが,いつ請求したかが明確になる方法で請求する必要があります。

具体的には,家庭裁判所に対し,養育費を求める調停を申し立てることが必要と考えられています。

⑷ 権利者が無職の場合

権利者が専業主婦などの場合には,実際の収入はゼロということになり,権利者の収入をゼロとして算定すべきかが問題となります。実務では,権利者が無職であっても,働けない具体的事情がなければ,少なくともパート収入程度は得られるであろうことを前提に,月収10万円程度の収入を前提として養育費を算定する場合が多くなっています。

⑸ 子どもが成人しているが大学等に通っている場合

学業に専念しており,未成熟子として扱われ,養育費を請求できる場合があります。算定表では,20歳以上の子どもは養育費を請求できないように見えますが,実務では,大学に通学する子どもについても,19歳以下の子どもと同様に未成熟子として扱い,養育費の請求が認められる場合場合があります。

また,同様に成人している子どもであっても,障害をかかえるなどしていて扶養を必要とする状況である場合には,やはり未成熟子として扱い,養育費を請求できることになります。

⑹ 義務者に扶養すべき者が増えた場合など

義務者が再婚して子どもが増えるなどして,扶養すべき者が増えた場合,それまでの養育費の負担が重くなる場合があります。このような場合には,いったん取り決めた養育費の金額について,取り決めた後に事情の変更があったことを理由として,養育費の減額が認められることがあります。

同様に,権利者が再婚をして,子どもと養子縁組をした場合には,養親も子どもの扶養義務を負うことになるので,義務者が負担している養育費が減額される可能性があります。もっとも,権利者が再婚しても,再婚相手が子どもと養子縁組をしなければ,再婚相手は法的に子どもを扶養する義務を負いませんので,義務者の養育費の金額には影響を及ぼさないこととなります。

離婚できるかお悩みの方へ 072-702-7101
QRコード
動画でわかるやさしい法律講座

当事務所の新着解決事例&トピックス

属性から解決事例を探す

性別
  • 男性
  • 女性
年代
  • 20~30代
  • 40~50代
  • 60代~
職業
  • 経営者
  • 医者
  • 主婦
  • サラリーマン
  • 専門家
  • その他
争点
  • 不倫・不貞
  • 婚姻費用
  • 養育費
  • 年金分割
  • 慰謝料
  • 親権
  • 面会交流
  • 離婚事由の有無
  • 財産分与
弁護士法人 H&パートナーズ大阪梅田支店のあんしんサポート

あなたに最適な離婚サポートは?

  • 協議離婚サポートプラン
  • 離婚協議書作成プラン
  • 公正証書作成プラン
  • 調停離婚サポートプラン
  • 婚姻費用代理プラン
  • 協議離婚交渉代理プラン
  • 離婚調停代理プラン
  • 離婚訴訟代理プラン
  • 親権に関する調停・審判代理プラン
  • 親権に関する保全処分代理プラン
  • 不貞慰謝料請求プラン
  • 離婚後強制執行プラン
  • 面会交流交渉代理プラン
  • 面会交流調停代理プラン
  • 面会交流強制執行プラン
  • 協議書・公正証書作成プラン
  • 離婚訴訟代理プラン
  • 協議離婚サポートプラン
  • 協議離婚交渉代理プラン
  • 調停離婚サポートプラン
  • 離婚調停代理プラン
PAGE TOP