養育費支払い義務者が失職して減収した場合,養育費の額への影響の有無

お子様の養育費の金額を取り決めて離婚したものの,養育費を支払うべき元配偶者が失職して収入がなくなったり,減少した場合,養育費の金額はどうなるのでしょうか。                   まず,一度取り決めた養育費の金額は,再度,双方が協議や調停により,金額を変更する旨の合意等がされない限り,変わるものではありません。                              では,養育費を支払う者が,失職して減収した場合,養育費は減額されるのでしょうか。 

東京高裁平成28年1月19日決定(「家庭と法の裁判」2017年1月号62頁)を参考に,検討してみたいと思います。

事実関係                                           ① 元夫と元妻は,平成24年に子どもたち2人の親権者を元妻とし,養育費を1人当たり月額6万円と定めて裁判上の和解で離婚。                                      ② 元夫は,平成26年,自身の取入が減収した一方,元妻の収入が増加したことを理由に,子どもたちの養育費を減額する調停を申し立てたが,調停は不成立となり,審判へ移行。 

原審の判断                                          ① 元夫は失職し,審判の当時も就職できていなかったこと,元妻は裁判上の和解の前提となった平成23年の年収が113万円程度,平成26年は年収292万円程度になった。このことから養育費の合意を変更するのを相当とする事情の変更があった。                                ② 養育費変更の始期は調停申立てがあった平成26年×月からとするのが相当。            ③ 平成27年×月に失職した元夫について,失職して間もないことから平成25年の賃金センサスの産業計・男・学歴計・50-54歳の年収額678万円程度に鑑みても,少なくとも平成25年の年収604万円程度の給与を得る稼働能力が認められる。                                   ④ 算定方式により,養育費の額を平成27年×月から1人あたり月額4万円に減額する内容に変更。

本決定                                             審理不十分として原審に差戻し。                                (一般論)                                           養育費は,当事者が現に得ている実収入に基づき算定するのが原則,義務者が無職であったり,低額の収入しか得ていないときは,就労が制限される客観的,合理的事情がないのに単に労働意欲を欠いているなどの主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず,そのことが養育費の分担における権利者との関係で不公平に反すると評価される場合に初めて,義務者が本来の稼働能力(潜在的稼働能力)を発揮したとしたら得られるであろう収入を諸般の事情から推認し,これを養育費の基礎とすることが許されるというべき。                                             (本件)                                            元夫は,失職後,就職活動をして雇用保険を受給しているが,原審判の平成27年時点では未だ就職できていなかったとの事実を認定(→上記下線部のように評価されるかどうか審理していない)。        仮にその(上記下線部の)ように評価される場合であっても,元夫の潜在的稼働能力に基づく収入はいつから,いくらと推認するのが相当であるかは,退職理由,退職直前の収入,就職活動の具体的内容とその結果,求人状況,職歴等の諸事情を審理した上でなければ判断できない。                原審のように,失職直後から従前の収入と同程度の収入が得られたはずであるとの認定は,退職する必要もないのに辞職したというような例外的な事情がある場合でない限り,是認できない。          失職直後から潜在的稼働能力に基づく収入を算定することが相当でないのであれば,それが相当でない期間は,雇用保険による実収入について審理し,これを養育費算定の基礎とする必要がある。        また,元夫が平成26年に調停申立てをしたのに,平成27年×月以降についてのみ減額を認めた根拠も不明。ちなみに元夫は平成28年×月から就業を開始,その収入は業務の成果によって変動する約定であり,この事情も養育費の金額に影響しうる。 

考察                                              義務者が退職すべき事情もない(養育費の支払義務や強制執行を免れる目的等)のに辞職したり,すぐにでも再就職が可能であるのに主観的事情で稼働していないと認められる場合には,従前の収入や賃金センサスに基づく収入を前提として養育費の金額は決められることになるでしょう。              また,具体的に義務者の収入をいくらとみるかの判断は,退職理由,退職直前の収入,就職活動の具体的内容とその結果,求人状況,職歴,健康状態,学歴,資格の有無,年齢,再就職が困難な事情の有無等が事案ごとに考慮されることになります。

                                              以上

離婚できるかお悩みの方へ 072-702-7101
QRコード
動画でわかるやさしい法律講座

当事務所の新着解決事例&トピックス

属性から解決事例を探す

性別
  • 男性
  • 女性
年代
  • 20~30代
  • 40~50代
  • 60代~
職業
  • 経営者
  • 医者
  • 主婦
  • サラリーマン
  • 専門家
  • その他
争点
  • 不倫・不貞
  • 婚姻費用
  • 養育費
  • 年金分割
  • 慰謝料
  • 親権
  • 面会交流
  • 離婚事由の有無
  • 財産分与
弁護士法人 H&パートナーズ大阪梅田支店のあんしんサポート

あなたに最適な離婚サポートは?

  • 協議離婚サポートプラン
  • 離婚協議書作成プラン
  • 公正証書作成プラン
  • 調停離婚サポートプラン
  • 婚姻費用代理プラン
  • 協議離婚交渉代理プラン
  • 離婚調停代理プラン
  • 離婚訴訟代理プラン
  • 親権に関する調停・審判代理プラン
  • 親権に関する保全処分代理プラン
  • 不貞慰謝料請求プラン
  • 離婚後強制執行プラン
  • 面会交流交渉代理プラン
  • 面会交流調停代理プラン
  • 面会交流強制執行プラン
  • 協議書・公正証書作成プラン
  • 離婚訴訟代理プラン
  • 協議離婚サポートプラン
  • 協議離婚交渉代理プラン
  • 調停離婚サポートプラン
  • 離婚調停代理プラン
PAGE TOP