財産分与における未払婚姻費用の考慮

夫婦の一方が婚姻費用分担義務を履行しない場合,これを財産分与において考慮することができるでしょうか。

婚姻費用分担と財産分与との関係に関しては,最高裁判所が,「離婚訴訟において裁判所が財産分与の額及び方法を定めるについては当事者双方の一切の事情を考慮すべきものであることは民法771条,768条3項の規定上明らかであるところ,婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様は右事情のひとつにほかならないから,裁判所は,当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるものと解するのが,相当である。」(最判昭和53年11月14日民集32巻8号1529頁)と判示しました。                                    つまり,過去の婚姻費用は,公平の観点から「一切の事情」として財産分与において考慮され得るということになります。

 上記最高裁判例は,理論的理由を明らかにしておらず,離婚における財産分与請求権により過去の婚姻費用分担請求権はどのようになるのかに関し,裁判例は3つに分かれています。

①婚姻費用分担請求権は離婚によって消滅し,以後は不当利得・損害賠償の請求権,財産分与請求の事情として考慮されるとする考え方(神戸家審昭和37年11月5日家月15巻6号69頁)

②離婚により婚姻費用分担請求権は2年間で消滅するが(民法768条2項の類推適用),その期間内であれば財産分与の一つとして請求できるとする考え方(大阪高決昭和37年10月3日家月14巻12号89頁)

③離婚によっても過去の婚姻費用分担請求権は消滅しないが,財産分与の一部として請求することもできるとする考え方(水戸地判昭和51年7月19日家月30巻1号102頁)

があります。 

裁判例は固まっていませんが,実務的には,②説で運用するのが適当であると思われます。       したがって,過去の未払婚姻費用を財産分与によって考慮することは可能であり,財産分与に加算して請求することになります。                                      もっとも,夫婦生活が円満に推移している間の婚姻費用については,たとえ夫婦の一方が過当に婚姻費用を負担したとしても,財産分与において考慮することはできないとする高裁判例があります(高松高判平成9年3月27日判タ956・248)。                                    上記最高裁判例の事案は,別居後に妻が負担した未成年の2児を含めて生活費・教育関係費の清算を求めたものですが,これと異なり,夫婦生活が円満に推移している間に負担した婚姻費用については,たとえ相対的に過当なものであっても,特段の事情がない限りいわば贈与の趣旨でなされ,その清算が予定されないからというのが,その理由です。

以上より,夫婦の一方が,別居後離婚成立までに婚姻費用を過当に負担したにもかかわらず,別居後の婚姻費用の調停,審判などの手続がされていない場合には,財産分与において酌量されるよう主張・立証することになります。

 

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